2005年12月 6日

「発火点」 真保裕一

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実は今まで真保裕一の作品を読んだことがなかった。簡潔かつ大胆なタイトルと、どれも読み応えがありそうな分厚さで、前から気になってはいた。ということで、私にとってこの「発火点」が初の真保作品である。

はっきり言って、ガッカリした。殺された父親の真相をその息子(主人公)が探っていく話なのだが、その間、被害者家族として好奇の目にさらされ、そのことが原因でひねくれて成長していく主人公のエピソードが大半を占めている。正直、どうでもいい話が多すぎる。この本、半分の厚さでいいのではないか? と思えるほど途中のエピソードが長く、意味のないものになってしまっている。

なぜ父親が、友人に殺されなければならなかったのか? その根本的な原因となるところ、所謂発火点はどこなのか、という肝心要の部分が意外と淡泊で「え? なにそれ? それだけ?」という印象を持ってしまった。もっとドンデン返しがあるのだとばかり思っていたからかも知れないが。

いずれにしても、私的に×。残念。

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