2005年10月22日
「椿山課長の七日間」 浅田次郎
死んだ人間が、七日間だけ別の体を借りて現世に戻る、って話。結構重ための内容かと思ったら、そこは浅田次郎、結構コミカルに展開する。デパートの婦人服売り場に勤めていた椿山課長が、セールの真っ最中に突然死。その他、交通事故に逢ったいたいけな少年と、人違いで刺された子分思いの「優良ヤクザの親分」の計三人が登場する。
父と子、子供と親、夫と妻、師弟関係、といった様々な人間関係の本質が「死んでからわかる」という、何とも切ない話なのだが、軽快でコミカルなタッチがそれを感じさせない。
冥土、所謂極楽か地獄か審判される「あの世とこの世の狭間」の部分が面白い。まるで運転免許の更新のように、前世での罪の度合いによって各講習があり、講習を受ければ罪が免除される、みたいな(笑。地獄へ堕ちる人間は、喩えるなら「免許取消処分」かな。「Spirit Arrival Center」通称SAC(サック)だそうな(爆笑。
終始コミカルなタッチなので、単純に「あり得ない話」として楽しめるし、かといって奥はけっこう深い。浅田次郎はやはりダイナミックレンジが広い作家だ。
あと、テレビドラマ化が決定しているそうだ。期待できるかな?
- by Black-Dog
- at 16:15
comments